良質な睡眠を手に入れるために
更年期は、ホルモンバランスの大きな変動により、身体的・精神的な変化が多くなります。
変化の一つに、男女ともに睡眠障害が起こりやすいことがあります。
睡眠障害とは、寝付きが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることで十分な睡眠が取れず日中に眠気が生じるなど、日常生活に支障をきたすことをいいます。
睡眠は心身の健康に大きく関わるため、質の良い睡眠をとることは健康維持にとって重要です。
今回は、男女の更年期に伴う睡眠障害の原因を解説し、良質な睡眠を手に入れるための食事、生活習慣、寝室環境の改善策、リラックス法、サプリメントの活用法についてご紹介します。
更年期と睡眠障害の関係
1.ホルモンバランスの変化が睡眠に与える影響
●女性の更年期と睡眠
更年期を迎えると、女性ホルモンの「エストロゲン」が急激に減少します。
エストロゲンは、自律神経や血行・体温調節をサポートしているため、その低下は睡眠に大きな影響を与えます。
エストロゲンの減少により、寝付きが悪くなったり、ホットフラッシュ(突然の発汗やのぼせ)によって夜間に目が覚めやすくなることがあります。
さらに、自律神経のバランスが崩れると、心身のリラックスを過ごすのが難しくなることもあり、睡眠の質に影響を及ぼします。
●男性の更年期と睡眠
男性にも「男性更年期」と呼ばれる時期があり、テストステロン(男性ホルモン)の低下が見られます。
テストステロンはエネルギーや筋力を維持する重要なホルモンですが、その減少は疲労感や眠気、精神的な不安定さを引き起こすことがあり、これが原因で、男性も睡眠障害に悩むことが増えます。
とくに、朝起きた時に疲れが取れていない、昼間に眠気を感じやすいといった症状が現れることがあります。
2.ストレスと不安の影響
更年期には、ホルモンの影響だけでなく、ストレスや不安が睡眠障害を悪化させる原因となります。
更年期は仕事や家庭で重要な役割を担うことが多い世代なので、不安や心の疲れを感じることも多い傾向にあります。
そのうえ更年期の体調の変化が心身に負担をかけ、ストレスが長期間続くと、交感神経が優位になり心拍数が増加し、リラックスすることが難しくなります。
リラックスが難しいと、寝室で心地よい睡眠環境を整えても寝つきが悪くなり、質の良い眠りを得ることができません。
3. 体温調節と睡眠
更年期はホルモンバランスの変化によりホットフラッシュなど体温調節の乱れを引き起こすことがあります。
体温が急に上がり寝つきが悪くなったり、暑さで不快を感じて眠りが浅くなるなど睡眠の質に影響を与えます。
質の良い睡眠のために、快適な環境や心身の状態を整えることが大切です。

良質な睡眠のために
1. 食事と栄養
睡眠の質に関わる栄養素を意識的に摂取しましょう。
☑ トリプトファン
必須アミノ酸の一つ。セロトニンを生成し、リラックス効果を高めます。トリプトファンを含む食材には、鶏肉や豆腐・納豆など大豆製品、ナッツ類、バナナなどがあります。
☑ マグネシウム
筋肉の緊張をほぐし、リラックス効果をもたらす良質な睡眠に役立つミネラルです。ほうれん草、アーモンド、かぼちゃの種などに豊富に含まれています。
☑ ビタミンB群
体内時計の調整や、疲れのケアに役立つ栄養です。豚肉、レバー、魚介類、豆類などに多く含まれています。
また、食事に関連したワンポイントアドバイスとして、食後すぐに寝ると、消化活動が活発になり眠りが浅くなることがあります。
食事は寝る2~3時間前までに摂ることを心がけたり、就寝時間が近ければ消化に負担がないものを選ぶなど工夫することも大切です。
2. 寝室の環境
☑ 室温の調整
寝室は涼しく、快適な温度を保ちましょう。ホットフラッシュが気になる場合は、扇風機や冷房を活用し心地よい温度に調整しましょう。
☑ 落ち着く静かな環境
睡眠1時間ほど前から照明を落として、テレビやスマホなど情報ツールから離れて落ち着く空間をつくりましょう。環境を整えることで自然な眠気を誘う効果もあります。
☑ 寝具の見直し
寝具が合っていないと、寝つきが悪くなることがあります。自分に合った枕やマットレスを選ぶことが、深い眠りにつながります。
3. リラックス法を取り入れる
睡眠前のリラックス時間を大切にしましょう。ストレッチや深呼吸、瞑想などが効果的です。
☑ 深呼吸
深呼吸をすることで、副交感神経が優位になり、心身がリラックスします。寝る前に、5分程度の深呼吸を意識して行うことで、睡眠に入りやすくなります。
☑ ぬるめのお風呂
寝る1~2時間前にぬるめのお風呂に入ると、体温が一時的に上昇し、その後の体温の低下が眠気を引き起こします。
☑ ストレッチ
軽いストレッチやヨガを取り入れることで、筋肉の緊張を解き、リラックスにつながります。
4. ハーブティーやサプリメントを活用する
睡眠をサポートする栄養や飲み物も効果的です。
☑ カモミールティー
カモミールにはリラックス作用があり、寝る前に飲むことで心が落ち着き、良質な睡眠を得やすくなります。
☑ GABA(ギャバ)
GABAは、ストレスを軽減し、リラックス効果をもたらします。摂取して栄養を取り入れることで睡眠の質の向上に役立ちます。

まとめ
更年期だけでなく、加齢による睡眠の質の変化は多くの人が経験しますが、食事や生活習慣、寝室環境の改善、リラックス法、サプリメントの活用などを実践することで、良質な睡眠を得ることができます。
睡眠の質が向上すると心身の健康が保たれ、日々の生活がより充実したものになります。
更年期の睡眠問題を改善するために、自分に合った方法を取り入れ、健康を維持しましょう。
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